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Sayahon
英語で目標や目的を意味する「Goal」と「Objective」
こんにちは、マルチリンガルライターのSayah (@sayah_media)です。前回アメリカの大学「University of the People(UoPeople)」の「Principles of Business Management」コースで、ビジネスにおける「Goals and Objectives」について学びました。
英語で「目標」や「目的」を意味する「Goal」や「Objective」。それでは、この二つの英単語は、一体どのように使い分ければ良いのでしょうか?また、同様に「目標」や「目的」と訳される「Target」や「Purpose」、「Aim」との違いとは?
本稿では、英語学習だけではなく、ビジネス戦略においても頻繁に用いられる「Goal」と「Objective」の意味やニュアンスの違いについて解説していきます。
「Goal」と「Objective」とは
それぞれ「目標」や「目的」の意味で知られる「Goal」と「Objective」。特に「Objective」に関しては、「目的」と訳されることも多いです。
ビジネス戦略において、相乗効果を発揮する「Goal」と「Objective」ですが、この二つの英単語には一体どのようなニュアンスの違いがあるのでしょうか?本章ではまず、「Goal」と「Objective」のそれぞれの意味から説明していきます。
Goalの意味
「目標」という意味を持つ「Goal」は、将来的に(通常3〜5年程の長いスパンで)たどり着きたい「結果」や「目的地」を意味しており、結果を得るための方法や道筋などの「過程」は含まれていません。
『オックスフォード現代英英辞典』では、
something that you hope to achieve(あなたが達成したいと望んでいる何か)
と説明されています。
出典:goal noun – | Oxford Advanced Learner’s Dictionary
つまり、その名の通り、最終的な目的地である「ゴール」をイメージすると捉えやすいのではないでしょうか。また、Goalには実現の可否は問わずに、希望や夢などが含まれる可能性があります。
企業のGoalの例
- Expand companies to the world
(世界進出する) - Glow sales and profits
(売上高と収益を増加させる) - Become the top green company in the industry
(業界トップのグリーン企業になる) - Become a White 500 certified company
(ホワイト500に認定される) - Create a comfortable working environment for employees
(働きやすい職場環境を作る)
個人のGoalの例
- Improve my productivity
(生産性を向上させる) - Improve my business knowledge and become an expert
(ビジネスの知見を高めてエキスパートになる) - Improve work efficiency of employees
(部下の業務効率化を図る) - Become a leader who people can trust
(信頼されるリーダーになる) - Become a boss who people can respect
(尊敬される上司になる)
Objectiveの意味
一方で、同じく「目標」や「目的」という意味を持つ「Objective」は、ビジネスや政治などのフォーマルな場や話題で使用されることが多いです。
『オックスフォード現代英英辞典』では、「Objective」の意味について、
something that you are trying to achieve(あなたが達成しようと努めている何か)
と説明されています。
出典:objective noun – | Oxford Advanced Learner’s Dictionary
Objectiveは、特定のゴールを達成するための、具体的かつ実行可能な目標です。また、Objectiveは通常約1年ほどの、より短いスパンで設定・実行されます。
例えば、企業が「世界進出する」というGoalを持っている場合、企業は「今年の9月末までにアメリカの企業3社と契約する」「今年の10月頭までに新製品を中国で販売する」といった具体的なObjectiveを設定することができます。
企業のObjectiveの例
- Increase content posts to 100 per month by the end of this quarter
(今四半期末までにコンテンツの投稿数を月100本にする) - Expand market share to 8% by the end of next year
(来年度末までに市場シェアを8%に拡大する) - Reduce operating costs by 5% within a year
(1年以内に運用コストを5%削減する) - Introduce a cafeteria plan to enhance the welfare
(カフェテリアプランを導入し、福利厚生を充実させる) - Introduce mental self-checks and in-house counseling
(メンタルセルフチェックと社内カウンセリングを導入する)
個人のObjectiveの例
- Read at least two marketing strategy books every month
(マーケティング戦略の本を毎月最低2冊読む) - Take a management seminar every month
(マネジメントに関するセミナーを毎月受講する) - Hold a 1on1 meeting with employees once a month
(月に1回は部下との1on1ミーティングを実施する) - Incorporate daily work into data and visualize it
(毎日の業務をデータに落とし込み、可視化する) - Make operations paperless using cloud services to strengthen security, secure assets, and improve operational efficiency
(クラウドサービスを用いて運用をペーパーレス化し、セキュリティの強化、資産の保護、運用効率の向上に努める)
「Goal」と「Objective」の違い
アメリカの求人情報サイト「Indeed」は、GoalとObjectiveの違いについて、以下のように説明しています。
①Goalは組織または個人のミッションを達成するために設定され、ObjectiveはGoalの達成のために設定される。
②Goalは意図が幅広く、多くの場合は定量化できない。Objectiveは目標よりも範囲が狭く、特定のタスクの観点から説明されるものである。
③Goalは達成すべきことのステートメントで、それを達成するために必要なタスクは述べられていない。Objectiveは、特定のフレームワーク内で実行する特定のアクションである。
④Goalは無形で測定不可能な場合があるが、Objectiveは有形のターゲットの観点から定義される。
(例:「優れた顧客サービスを提供する」というGoalは無形だが、「顧客の待ち時間を1分に短縮する」というObjectiveは具体的であり、主なGoalの達成に役立つ)
⑤Goalは長期間にわたって達成されるように設定されているが、Objectiveはより短いタイムフレームを対象としている。Goalは通常、いくつかのObjectiveに分割されている。
⑥Goalの説明には概念的思考に重きを置いた言葉が使用され、Objectiveの説明にはクリエイティブな側面を重きを置いた言葉が使用される。
出典:What Is the Difference Between Goals and Objectives? | Indeed.com
GoalとObjectiveの比較表
「Goal」と「Objective」の違いについて、分かりやすくシンプルにまとめると、このようになります。
Goals | Objectives |
長期間 | 短期または中期 |
範囲が幅広い | 範囲が狭い |
測定が難しい | 測定しやすい |
最終結果 | 最終結果への手段 |
抽象的なアイディア | 特定で明確なプロセス |
つまり、「Goal」はざっくりとした最終目標(長期目標)で、「Objective」はGoalにたどり着くための短期・中期目標であり、具体的なプロセスであるということが分かります。
つまり、上の図のように、ObjectiveとはGoalを達成するためのステップと考えて良いでしょう。具体的で現実的な目標(Objectives)をコツコツと叶えていくことによって、将来的に大きな目標(Goal)を成し遂げることができるのです。
「Purpose」「Aim」「Target」とは
では、同じく「目標」や「目的」という意味を持つ「Target」や「Purpose」、「Aim」には、一体どのようなニュアンスの違いがあるのでしょうか?
Purposeの意味
「Purpose」とは、主に「目的」という意味を持つ一般的な英語で、ビジネスだけではなく日常会話でもよく使用されている言葉です。
『オックスフォード現代英英辞典』では、
the intention, aim or function of something; the thing that something is supposed to achieve(何かの意図、目的、または機能。 達成することになっていること)
また、
the ability to plan something and work successfully to achieve it(何かを計画し、それを達成するために上手く機能する能力)
と説明されています。
出典:purpose noun – | Oxford Advanced Learner’s Dictionary
Purposeの例
- Our purpose is to help clients achieve their highest potential and live their best lives.
(私たちの目的は、クライアントが最高の可能性を達成し、ベストな生活を送るのを助けることです)
また、日常会話でよく使われる言葉に「I didn’t do it on purpose(わざと/故意にやったんじゃないよ)」があります。これは「Intention(意図)」を使用した「I didn’t do it intentionally(意図して/意図的にやったんじゃないよ)」と同様の意味で使うことができます。
- I didn’t do it on purpose
(わざと/故意にやったんじゃないよ)
=I didn’t do it intentionally
(意図して/意図的にやったんじゃないよ)
また、同様に、これらは三人称でも言い換えることができます。
- It was not on purpose
(わざとじゃないよ)
=It was not my intention
(そんなつもりじゃないよ)
つまり、「Purpose」は、その行動を行った「理由」や「意図」、「動機」、「意味」を説明する時などに用いられます。一方で「Objective」は、計画的に(努力をして)達成される目的や目標のことを意味します。
Targetの意味
的や標的といった意味も持つ「Target」は、売上などの数値目標や新しい市場、新規顧客層、ニッチ市場など、具体的に的が定っている時に使います。
『オックスフォード現代英英辞典』には、「Target」の意味について、
a result that you try to achieve(あなたが達成しようとしている結果)
と記載されています。
出典:target noun – | Oxford Advanced Learner’s Dictionary
他にも
an object, a person or a place that people aim at when attacking(攻撃するときに狙う物体、人、場所)
と説明されているように、標的や目標、狙いが明確に定まっている時に使用することができます。
出典:target noun – | Oxford Advanced Learner’s Dictionary
Targetの例
- The best way to set the targets is to review your company’s purpose.
(目標を設定する最良の方法は、会社の目的を再確認することです) - When the campaign got out of our normal PR comfort zone, it reached our target audience more effectively.
(キャンペーンが通常のPRの快適ゾーンから外れた途端、より効果的にターゲットオーディエンスに到達しました) - The target of our company is to supply the products of the highest quality at a good price.
(当社の目標は、最高品質の製品を手頃な価格でお届けすることです)
Aimの意味
FPSなどのゲームが好きな方には馴染み深いと思いますが、「銃の照準を合わせる」「〜に銃の狙いを定める」などという意味も持つ「aim」。
『オックスフォード現代英英辞典』では、
the purpose of doing something; what somebody is trying to achieve(何かをする目的; 誰かが達成しようとしていること)
であると説明されています。
出典:aim noun – | Oxford Advanced Learner’s Dictionary
つまり、「Aim」は行動することで達成したい何か(「意図」や「目的」)を意味しています。
また、他にも
the action or skill of pointing a weapon at somebody/something(誰か/何かに武器を向ける行動またはスキル)
という意味を持つことから、「Target」のように、きちんと目指す方向や狙い、照準が絞られている時に、使用することができます。
出典:aim noun – | Oxford Advanced Learner’s Dictionary
Aimの例
- The aim of our project is to contribute to the development of EdTech.
(我々のプロジェクトの目的は、エドテックの開発に貢献することです) - The aim of our company is to reconstruct the formation process of a broad scale society.
(当社の目的は、大規模な社会の形成過程を再構築することです) - Our company aims to meet the developing and changing needs of our customers by producing high quality.
(当社は高品質を生み出すことにより、日々発展・変化するお客様のニーズに応えることを目的としています)
最後に
「目標」や「目的」を意味する英単語「Goal」「Objective」「Purpose」「Target」「Aim」。
特に「Goal」や「Objective」においては、ビジネス英会話でも頻繁に使用されます。そのため、これらの違いについて理解しておくことは、特にビジネスに携わっている方や、経営学を専攻されている方には非常に重要です。
ただ、いずれも日本語だと「目標」や「目的」と訳されてしまうことが多いため、これらの違いについて明確に理解できていないという方や、使い分けに悩んでしまう方も多いのではないかと思い、こちらの記事を執筆させていただきました。この記事が 、少しでも皆さまのゴール達成にお役立てできたら幸いです。
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語学と文化が大好きなマルチリンガルライター(日本語、英語、スペイン語、フランス語)。 「働く⇆海外滞在」を繰り返し、多言語で生活するフリーランス。 【職業】Webライター、翻訳家。 アメリカのオンライン大学「University of the People(UoPeople)」在学中。Webメディア運営会社に約5年勤めたのち独立。 他に、米国大手ブランドのPRやコンテンツ制作、SNS運用、SEOコンサル、メディアの運営などもしています。 【執筆記事】主にビジネス、SEO、インタビュー(英日)、語学、映画レビュー、イベントレポートなど、幅広く執筆中。
