学費無料のオンライン大学「UoPeople」とは
大学・大学院に行きたいけど、経済的に余裕がない…。海外に留学したいけど、立場的(または経済的)に厳しい…。大卒・院卒の資格が欲しいけど、時間的に大学や大学院に通う余裕がない…。
そういった理由から、大学や大学院行きを諦めている方も多いのではないでしょうか。実は私もそうでした。社会人としての立場や年齢、多忙などを言い訳にして、大卒の人たちを羨望の目で見続け、過去の選択を悔いる日々。
しかし、そんな私 (@sayah_media)の悩みを全て解消し、諦めかけていた理想の自分への一歩を踏み出すきっかけを与えてくれたのが、学費無料のアメリカのオンライン大学「University of the People(ユニバーシティ・オブ・ザ・ピープル)」です。
本記事ではUoPeopleの現役大学生の筆者が、UoPeopleのリアルな実態について解説します!
実は…アメリカの大学に入学しました✨
9月から本格的にオンライン授業が始まるので
仕事や語学との両立がんばります💪まだまだリカレント教育が浸透していない日本。
「今が一番若い」の精神でがんばります✨入学を決めた理由はこちら。
(遂にウェブサイトも公開🔥)https://t.co/dahDXUIyXq— Sayah🌎マルチリンガルライター #NoWar 🇺🇦❤️🇷🇺🙏 (@sayah_media) August 6, 2020
University of the People(UoPeople)とは
コロナ渦の今、オンライン大学で、働きながら学び直しをしたいという方も増えているのではないでしょうか。
そんな方にオススメしたいのが、私も在学しているUniversity of the People(通称「UoPeople」、日本語名「ピープル大学」)です。
学費が無料ということで、中には本当に認定されているのか、また、インストラクターの質や授業の質など、さまざまな点において、心配を抱えている方もいるのではないでしょうか。
今回はそんなUoPeopleについて、私が出願前に自分自身が心配していたことや、疑問に感じていたことなどを踏まえながら、一つずつ分かりやすく解説します。
(社会人学生でも使える学割制度についてはこちらで解説!)
↑UoPeopleについても掲載されている書籍
短大・大学・大学院の卒業資格が取得可能
UoPeopleはアメリカ・カリフォルニア州に本部を持つ、世界初の学費無料のオンライン大学で、学費無料で短大卒の資格(準学士号)や大卒の資格(学士号)、大学院卒に相当する修士号を取得できます。
中には「Universityって大学のことじゃないの?」「大学院は英語でGraduate Schoolでしょ?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、アメリカの大学院構造は、日本の「大学」「大学院」のイメージとは大きく違います。
アメリカの大学には、学部の中に学士課程のみではなく、修士・博士課程が置かれていることが一般的です。
そのため、一般的なアメリカのUniversityは、日本でいう「大学 兼 大学院」という位置づけであると言っても過言ではありません。
私が在籍しているUoPeopleでも、経営学部(MBA)や教育学部(M.Ed.)、コンピューターサイエンス学部(MSIT)で大学院修士課程が置かれており、修士号の取得が可能です。
取得可能な学位については、後ほどまた詳しく解説します。
公認機関に認定されている正規校
UoPeopleは、遠距離教育単位認定委員会(DEAC)に正式に認定(Accreditation)を受けているオンライン大学です。現在では、以下の機関に認定されています。
DEACとは、アメリカ合衆国教育省(USDE)と大学単位認定審議会(CHEA)に認定されている、認定機関です。
また、UoPeopleはカリフォルニア私立高等教育局(BPPE)にも承認されているため、学生は学費無料で正式に認定されている修士号・学士号・準学士号を取得することができます。
アメリカの認定制度については、こちらの記事をご覧ください。
数々の名門大学とパートナー提携
オンライン大学のUoPeopleは、イェール大学法科大学院、ニューヨーク大学、バークレー大学、国際連合難民高等弁務官事務所、クリントン・グローバル・イニシアティブ、国際連合など、様々な有名大学や機関と、パートナー提携および研究提携をしています。
2011年6月には、UoPeopleの学生に対し、世界屈指のニューヨーク大学アブダビ校への入学資格が認定。
また、UoPeopleの諮問委員会には、元ニューヨーク大学長、カリフォルニア大学バークレー校総長、オックスフォード大学副総長バーナード・カレッジ名誉学長、ジョージ・ワシントン大学名誉学長、ボストン大学総長、コロンビア大学名誉学長、パリアカデミー名誉教授など、名門大学の権威たちが名を連ねています。
Source: ユニバーシティ・オブ・ザ・ピープル | Wikipedia
ハーバード大学ビジネススクールとも提携
Source: Harvard Business School Online | University of the People
また、2021年2月にUoPeopleは、ハーバード大学ビジネススクールオンライン(通称:HBSオンライン)との提携を発表。
これによって、UoPeopleの学部生は、Collaborating Collegesプログラムを通じて、HBSオンラインコースを選択することが可能になりました。
HBSオンラインのプログラム、Credential of Readiness(CORe)に登録することで、学生は必要に応じた奨学金を受け取ることができ、
- Economics(経済学)
- Financial Accounting(財務会計)
- Business Analysis for Business Administration(経営用ビジネス分析)
の3つのコースを受講することができます。
これらのコースで学び、正常にコースを修了することができた場合、Credential of Readiness(CORe)認定を取得することができます。
この認定は就職に有利に働き、UoPeopleでの学位習得にも役立ちます。
Source: Harvard Business School Online | University of the People
ビル・ゲイツ元夫妻も支援
2011年には、マイクロソフトの元会長のビル・ゲイツ氏と元妻のメリンダ氏によって創設された、世界最大の慈善基金団体ビル&メリンダ・ゲイツ財団が、UoPeopleに50万ドルを寄付しています。
200カ国以上、65,000人以上の学生を受け入れ
これまでにUoPeopleでは、200以上もの国や地域の学生を受け入れており、約65,000人もの学生がUoPeopleで学んでいます(2021年6月時点)。
UoPeopleで取得できる学位
前述の通り、UoPeopleの学部および取得可能な学位は、以下の通りです。
- Business Administration(経営学):学士、準学士、修士(MBA)
- Computer Science(コンピューターサイエンス):学士、準学士、修士(MSIT)
- Health Science(ヘルスサイエンス):学士、準学士
- Education(教育学):修士(M.Ed)
つまり、自宅にいながらにして、学費無料でオンライン大学課程を受講し、学士号や準学士号の取得、また、M.Ed.やMBA、MSITなどのオンライン大学院課程を受講し、修士号を取得することができます。
UoPeopleの学費が無料である理由
UoPeopleは、学長でユダヤ系イスラエル人の起業家の、シャイ・レシェフ氏が、2009年に創始した非営利の高等教育機関です。
シャイ氏の「地球上のあらゆる貧困地域や遠隔地域、高等教育機会を繋ぎ、高等教育の普及によって世界のコミュニティをより良くしていきたい」という思いの元、「学費無料」という世界で初めてのシステムが誕生しました。
高等教育や、アメリカの大学・大学院で学ぶメリットについては、こちらで詳しく解説しています。
こちらの動画は、UoPeopleの創設者であるShai Reshef(シェイ・レシェフ)氏が、2014年にTEDに出演した際のものです。
この動画でシェイ氏は、UoPeopleを創立した理由や思いについて語っています。
世界には、幾千もの可能性を秘めた学生、高校の卒業生、高等教育を受ける資格を持った人たち、学びたい人々が様々な理由によって高等教育を受けられずにいます。
また、シェイ氏は「様々な理由」として、
- 金銭的な事情
- 文化的バリア(男女不平等である国の女性など)
- 需要を満たす座席数の不足(学校側の定員超過)
など、3つの要因を挙げています。
シェイ氏は、これらの様々な理由によって高等教育を受けられない人々に、高等教育への門戸を開けるべく、「非営利・学費無料・学位授与高等教育機関」であるオンライン大学UoPeopleを創立したと述べています。
Source: youtube.com
UoPeople卒業までに必要な費用
一方で、「UoPeopleって、本当に学費無料なの?」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
答えはイエスです。
ただし、UoPeopleでは、学費は無料ではあるものの、
オンライン大学課程は
- 入学時に「入学手数料」として60ドル
- 各コースごとに「評価料」が120ドルずつ
かかります。
オンライン大学院課程の場合は
- 入学時に「入学手数料」として60ドル
- 各コースごとに「評価料」が240ドルずつ
かかります。
この評価料に関してですが、記事によっては「準学士号・学士号が100ドル」「修士号が200ドル」と書かれている場合があります。
実は、オンライン大学・オンライン大学院のUniversity of the People(UoPeople)は、2020年7月に、コース評価料の改定を発表しました。
そのため、2020年10月までは、準学士号・学士号の評価料は100ドル、修士号の評価料は200ドルだったのですが、2020年11月のTerm 2以降に入学をした生徒は、改定後の料金を払うことになります。
また、これまでに入学手続きが完了している生徒は、今まで通りの評価料で授業を受けることが可能です。詳しくはこちらの記事にて解説しているので、よかったらご覧ください。
卒業までにかかる総額ですが、学士号(4年制)の場合、卒業までに40単位の取得が必要なので、UoPeopleを卒業するまでに、4,800ドル、日本円で約52,5000円(2021年6月時点のレートで換算)かかることになります。
ただし、評価料は一括払いではなく、毎term末に納めるシステムです。そのため、正確には1コース分の評価料(120ドル)を、約2ヶ月半ごとに支払う形になります。
1つの学期で2コース受講する場合は、2コース分の評価料(240ドル)、3コース受講する場合は、3コース分の評価料(360ドル)がかかります。
また、オンライン大学院課程の場合、卒業までに経営学(MBA)は36単位、教育学(M.Ed)は39単位必要です。
そのため、経営学(MBA)の場合は修士号の取得に8,640ドル、教育学(M.Ed)の場合は9,360ドルかかることになります。
こちらも2ヶ月半に1回のペースでコース料金(1コースにつき240ドル)を納めるため、1 termに1コースずつのペースで受講した場合、1ヶ月あたりの支出は約10,000円です。
このように、UoPeopleは、時間だけではなく経済面においても、仕事との両立がしやすいシステムとなっています。
また、完全オンライン大学のUoPeopleでは、当たり前ですが試験もオンライン形式です。
そのため、「Proctored(試験監督必須)」と記載されている一部のコースでは、会場型の試験のように、試験実施機関が用意した試験監督にモニターされるのではなく、受ける際に試験監督を自分でアサインしなくてはいけません。
試験監督としてアサインできる条件に関しては下で説明しますが、もし周りに条件の合う人がいない人は、「ProctorU」というオンラインサービスで、オンラインの試験監督をアサインする必要があります。
このサービスは、Webカメラを通して、試験中に画面の向こう側にいる試験監督が、ずっとモニターをしてくれるサービスです。
ProctorUは有料で、30分の模擬試験で8.75ドル、1時間の試験で14.75ドル、90分または2時間の試験で21.50ドル、3時間の試験で30.25ドル(2020年6月時点)かかります。
しかし、UoPeopleでは、全てのコースで試験監督が必要なわけではありません。試験監督をアサインしなくてはならないコースはごく一部です。
また、オフラインでご自身で試験監督を用意できる方は、ProctorUの料金がかからないため、実質0円で試験を受けることができます。
以上が、UoPeopleの卒業までに必要な経費になります。全部合わせてもオンライン大学課程で50万円弱、オンライン大学院課程で100万円前後(レートは2021年7月時点)だというから驚きです!
文部科学省の国立大学と私立大学の授業料等の推移によると、平成17年度から29年度までの国立大学の年間の授業料は535,800円、平成29年度の公立大学の年間の授業料は538,294円となっており、University of the People(UoPeople)に4年間在籍してかかる値段は、なんと日本の国立大学と公立大学の1年分の授業料と同等ということになります。
つまり、UoPeopleに入学した場合、国内の国立大学や公立大学に入るよりも4分の1程度で卒業することができるというわけです。
普通の大学の4分の1程度の価格で、英語力も高められて、正規の学位が取得できるなんて、凄くお得ですよね。
また、オンライン大学院課程に関しても、平成30年度入学者に係る初年度学生納付金調査によると、私立大学院の博士前期課程の初年度の学生納付金は、授業料、入学料、施設設備費併せて1,041,456円とのこと。
つまり、UoPeopleのオンライン大学院課程では、日本の大学院の約1年分の支出で修士号を取得することができるんです。
UoPeopleの出願方法
UoPeopleへの入学方法(出願の仕方)については、こちらの記事で詳しく説明しているため、よかったら参考にしてみてください。
リカレント教育にUoPeopleという選択肢
人生100年時代の今、近年注目を集めている「リカレント教育(生涯学習)」や「リスキリング」。
リカレント教育とは、AIやIoT、ロボットなどの普及が加速してからも、人々がそのような流動的な雇用の変化に対応できる人材となるため、学び直しを行うことで、総務省の平成30年版 情報通信白書によると、
リカレント教育は、就職してからも、生涯にわたって教育と他の諸活動(労働、余暇など)を交互に行なうといった概念
だと定義されています。
「この歳だから…」「仕事があるから…」「子供が居るから…」などと今まで諦めてしまっていた学び直しを、学費無料のUoPeopleというソリューションを活用し、実現してみてはいかがでしょうか。
▼UoPeopleのオンライン授業の進め方についてはこちら
▼社会人の私がオンライン大学UoPeopleに入学を決めた理由はこちら