遂に完成!カンボジアの井戸建設レポート
Hi there! 🌈 マルチリンガルライターのSayah (@sayah_media)です。
遂に先日、支援させていただいたカンボジアの井戸が完成しました!
日頃からNPO法人ワールド・ビジョン・ジャパン
また、本記事ではカンボジアで撮影された写真を使用しているため、そちらも参考にしていただけると幸いです。
▼カンボジアの井戸の費用や支援団体8社の比較などはこちらの記事をご覧ください。
カンボジアに井戸が必要な理由とは
近年、NGO団体の呼びかけにより、カンボジアの井戸建設支援を行う企業や有名人が増加しています。
それでは、なぜカンボジアに井戸が必要なのでしょうか。ここでは、カンボジアに井戸が必要な理由を解説します。
カンボジア🇰🇭に井戸を建設中です💪
SNSで言うか悩みましたが、
少しでも多くの人に
「支援はお金持ちだけがすることじゃなく
100円でも彼らにとっては大きな貢献」
というメッセージが伝わればと思い、
これから少しずつ報告していきます。こんな時代だけど
少しでも世界に笑顔が増えたらいいな👫🌍 pic.twitter.com/zFehG87BrO— Sayah🌎マルチリンガルライター🇯🇵🇺🇸🇪🇸🇫🇷 (@sayah_media) July 26, 2021
多くの人が水が原因で命を落としている
不衛生な水が原因で命を落としている子どもたちの数は、毎年180万人にものぼると言われています。
飢餓のない世界を創るために活動している国際協力NGOの「ハンガー・フリー・ワールド」によると、世界の12億人が汚れた水を飲んでおり、30億人が下水設備が整備されていないエリアで暮らしているそうです。
また、開発途上国の病気の約8割が汚水に関連しており、8秒に1人の子どもが水関係の病気で亡くなっています。
現在では、温暖化の影響による渇水も深刻な問題です。これはカンボジアでも例外ではありません。
2021年3月にNNA ASIAが公開した記事では、首都プノンペン郊外の約4万世帯が水不足の危機に直面する恐れがあると報じられています。
また、国際NGO ウォーターエイドによれば、清潔な水を飲めずにいるカンボジア人の数は、なんと340万人(4人に1人)にものぼるとのことです。
独立行政法人国際協力機構「JICA」にて、池上彰さんは「水」の問題に関し、「人々の命や生活、経済において最重要事項である」と主張しています。
安全で清潔な飲料水の確保は、人々の心身の健康や命を守ることにつながります。また、農業用水を安定して確保することは、食料不足問題などを解決に導くでしょう。
Source: 水の問題(前編) | 池上彰と考える!ビジネスパーソンの「国際貢献」入門 | JICA
一人当たりの年間世帯収入は約18万円
グローバル200カ国以上の新興国に特化したデータベース「CEIC」によると、2020年のカンボジアの一人当たりの年間世帯収入は約18万円です。
2021年の日本の234万円と比べると、これは約13分の1であることを示しています。
さらに、カンボジアの農家の月収においては、約1,200円〜2,000円にまで下がるそうです。
Source: カンボジアの井戸掘り事業 ナチュラルな暮らしのエコグッズ | エコデパジャパン
一人当たりのGDPは日本の25分の1
2020年の世界銀行のデータを用いて、GNI(国民総所得=国民が国内外で1年間に得た所得の合計)で比較すると、日本は約500万円であるのに対し、カンボジアは約49万円という結果が出ています($1 = ¥116で算出)。
また、「CEIC」によると、2020年の一人当たりのGDP(国内総生産)は、日本が約466万円であるのに対し、カンボジアは18万円ほどしかありません($1 = ¥116で算出)。
これは、国民の一人ひとりの豊かさで比べると、カンボジアは日本の25分の1であるということを示しています。
つまり、今回の井戸水の支援のような、大きな金額が発生する寄付だけが支援ではありません。
ボーナス出た時に数千円を寄付したり、お釣りの500円を気づいた時に募金したりするだけでも、私たちの「小さな貢献」は、彼らにとっては「大きな貢献」になり得るのです。
カンボジアの井戸完成レポート
いきなりですが、まずは支援させていただいたカンボジアの井戸の完成報告から。
私は今回、バランスコミュニケーション様を介してカンボジアの井戸支援をさせていただきました。
前半でメインの支援先の家族構成や生活水準について記載し、後半では井戸建設後の生活の様子を掲載しているため、ぜひビフォー・アフターを比較してみてください。
※この記事で掲載している画像・動画・情報は、すべて事前に使用許可を得ています。
支援先の家族構成と生活状態
私の井戸が設置された場所は、カンボジアのKampong Cham州(កំពង់ចាម)Srei Santhor群(ស្រុកស្រីសន្ធរ)Pteah Kandal区にある貧しい村です。
村はプノンペンから約60Km(車で90分)ほどで、チベットからベトナムに流れるメコン川沿いに位置しています。
私のメインの支援先のおうちは13人家族で、一家の収入源は農業です。
雨季(5月~11月)は出来るだけ雨水を使用しており、水が足りないときや乾季(12~4月)は、業者の水タンク車から水を買っているそうです。
こちらの画像はPさんのおうちの裏側です。水瓶に挿してあるトタンは、屋根からの水を集めるためにあります。
写真撮影時にも溜め水の中に水生昆虫が泳いでいたそうですが、田舎では普通の光景なのだとか。
それどころか、もっと濁っていても飲料水として使われるそうです。
生活のほとんどは家の中ではなく、上の画像のように、軒下のような場所で行います。
理由としては、ここの方が風通しが良く、外の様子もわかるからだそうです。
上の画像は台所で、七輪と薪を使って調理を行なっています。森の中で薪を拾うのは子どもたちの仕事です。
家は床が竹で、壁はヤシの葉、屋根はトタンでできています。
蚊帳が2つあるものの充分なスペースがないため、子どもたちはお婆さんの家で寝ることを余儀なくされているのだとか。
遂に待望の井戸が完成!
上の画像が完成した井戸です。石碑(ネームプレート)には、私の名前に加え、日本語とカンボジア語(クメール語)でメッセージを書かせていただきました。
今回この井戸ができたことで、衛生面や経済面の改善につながったそうです。
支援させていただいた村の人たちから、以下のようなメッセージが届きました。
『井戸ができてとても嬉しいです。特に井戸ができたことで乾季に水中昆虫や濁っている水を飲む必要がなくなり、また乾季には業者から水を買う必要がなくなったので、その分のお金を子供たちのご飯や養育費(制服や文房具など)に回せるのがとてもありがたいです。 また 、近くに井戸があることでいつでもきれいな水を使えるのでとても便利です。 この度は誠にありがとうございました 』
【動画】村の人たちからのメッセージ
こちらは村の人々からのメッセージ動画です。皆さんの笑顔がとてもキラキラしていて、非常に喜んでくれているのが伝わってきます。
この笑顔を見たら、自分の信念を曲げることなく支援して良かったとつくづく感じました。
【動画】井戸完成後の生活風景
上の動画は井戸完成後の生活風景を撮影したものです。
動画を見ると、井戸がきちんと生活の中心となっているのが伝わってきます。
下の画像は、女性がホースを使って水を汲んでいる様子です。井戸ができたことで、トイレもキレイに保つことができるようになり、衛生面も大幅に改善されました。
水圧も非常に強く、使い勝手が良さそうです。水の色も透明で、調理・洗濯・掃除・トイレだけではなく、飲み水としても充分に使用できます。
実際に井戸水を使ってくれている様子や、皆さんの笑顔を見て、こちらまで幸せな気持ちになりました。改めてこの支援をしてよかったと思います。
カンボジアの井戸支援のスケジュール
カンボジアの井戸完成までの大まかな流れとしては、以下の通りです。
- ①【支援者】費用を送金
- ②【バラコミ】カンボジア建設会社に寄付の送金、建設依頼(候補地の選定)
(候補地決定まで1~1.5か月程度) - ③【支援者】バラコミに井戸の石碑(ネームプレート)の内容を連絡
(送金後、1か月以内) - ④【バラコミ】井戸の石碑(ネームプレート)の手配
- ⑤【バラコミ】井戸の建設候補地決定(支援者に連絡)
→確認後に建設開始 - ⑥【バラコミ】井戸の完成
→完成報告書の送付
※バラコミ:バランスコミュニケーションの略
カンボジアの井戸完成までの具体的な流れ
【7月半ば】カンボジア井戸支援の問い合わせをする
カンボジアの井戸建設支援をしたいと思い、さまざまなサイトをリサーチ。
バランスコミュニケーション様に決め、サイトの問い合わせフォームから問い合わせをする。
【7月14日】カンボジア井戸支援の情報が届く
問い合わせをした後すぐに、代表の江見様からのメールを受信。
- 井戸建設の依頼から完成までの流れ
- 金額と内訳
- 入金先
- 建設会社の情報
- 井戸建設についてのPDF資料
などが送られてきました。
完成までの流れや建設会社に関する詳細がきちんと記載されており、NGO 人材開発育成協会(TDO)作成の資料も送付してくださいました。
そのため、井戸の詳細やカンボジアの状況について把握でき、安心して入金することができました。
【7月23日】カンボジア井戸支援の費用を入金する
少しバタバタしていたため、この日に入金をさせていただき、入金の報告をさせていただきました。
【7月24日】詳細なスケジュールが届く
入金まで時間がかかったにも関わらず、翌日すぐにメールを受信。
入金確認とともに、「石碑(ネームプレート)に入れる文字をどうするか」についても聞かれました。
基本的には使用不可な文字はなく、名前だけの方もいれば、名前に加えて短いメッセージを添える人もいるそうです。
日本語のメッセージを送った場合、現地でカンボジア語に翻訳してプレート内に併記されます。
また、この時に完成までの詳細なスケジュールも送付してくださいました。
【8月10日】石碑に入れる文字を送る
石碑に入れる文字については、この日に文字のアイディアを送りました。
1ヶ月ほど猶予をもらえたため、おかげで1ヶ月間じっくりと考えることができました。
また、送った内容でサンプル画像を送ってくれるため、作成前にデザインを確認することも可能です。
【8月13日】石碑のサンプル画像と領収書が届く
ネームプレートのサンプル画像と、同時にカンボジアの井戸建設支援の領収書が送られてきました。
サンプル画像を確認後に修正したい点がある場合は、変更も可能とのことです。
早急に領収書を送っていただけるなど、迅速かつ丁寧な対応に、最初から最後まで不安なくやりとりできました。
【9月1日】完成した石碑の画像が届く
石碑に入れたい文字を送ってから、1ヶ月も経たない内に、完成したネームプレートの写真が送られてきました。
完成した石碑には、しっかりと要望した通りのメッセージと本名が日本語、カンボジア語(クメール語)、英語で入っており、とても感動したのを覚えています。
【9月14日】井戸の候補地の報告書が届く
この日、井戸の候補地の報告書がPDFで届きました。
井戸が設置される村の詳細や、使用予定の世帯数と人数、家族構成やそれぞれの職業、家族の写真、生活の様子など、12枚の画像付きでPDF5枚分にびっしりと記載されていました。
どの情報もとても詳細に記載されていたため、より安心感が高まっただけではなく、「この人たちのもとに届くんだ」と思うと、一気に現実味が帯びてきて非常に嬉しかったのを覚えています。
【11月24日】カンボジアの井戸がついに完成!
カンボジアの井戸完成報告書(PDF)が届く。
最初に送られてきたスケジュールに記載されていた目安の期間通り、入金してからちょうど4ヶ月で井戸が完成しました!
PDF3枚分の報告書には、写真や動画、支援した村の住民からのメッセージ、井戸建設後の生活の様子などが鮮明に記載されていました。
写真や動画を見るとより実感が湧いて、心がジーンと熱くなりました。あまりの嬉しさに、動画を見せようと母や彼のもとにすっ飛んで行ってしまったほど。
いただいた画像や動画をブログやSNSに掲載しても大丈夫か確認したところ、画像や動画はすべて使用許可を得ており、自由に使ってよいそうです。
バランスコミュニケーションを選んだ理由
私がお世話になったのは、バランスコミュニケーションです。ヴィジョンに共感したのと、代表の方のブログの丁寧な説明などで安心できたため、こちらに決めました。
- ウェブページ:https://www.cambodia.balacomi.com/ido
- Eメール:info@balacomi.com
- 問い合わせフォームはこちら
バラコミでは、寄付金の100%を現地に届けており、カンボジア建設支援会社からの手数料なども一切受け取っていません。
カンボジアの手数料(440円)を含め、支援活動にかかる諸経費はすべて、代表の江見様が負担してくれているそうです。
また、建設費用がいくらかや、建設支援会社の情報がきちんと記載されていた点も、大変気に入りました。
建設支援会社に直接支援することも可能で、ブログにも支援の詳細が書かれているなど、信頼性が非常に高かったため、こちらに決めました。
井戸の建設費用は以下の通りで、小型井戸であれば相場の7万円以下で建設することが可能です。
井戸のサイズ | 小型井戸 | 大型井戸 |
建設費用 | 55,000円 | 200,000円 |
費用の内訳 | 工事費、水質検査、完成までにかかる諸費用、建設後1年間保証、3年間の故障修理対応費用5,000円込み | 工事費、水質検査、完成までにかかる諸費用、建設後1年間保証 |
使用人数 | 2〜3家族 | 50人〜100人以上 |
設置場所 | 貧しい村 | 貧しい村または小学校 |
エリア | コンポンチャム州、シェムリアップ州、 クロチェ州など |
|
建設期間 | 2〜3ヶ月 | 3〜4ヶ月 |
使用可能期間 | 修理なしで3〜5年 (10年以上使用されている事例も有り) |
メンテナンス次第で 10年以上 (水脈が切れず、壊れなければ半永久) |
レポート・写真 | レポート送付有り (建設地の写真・動画、井戸建設の様子、 村人たちのお礼のメッセージ入り) |
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ネームプレート | 名前やメッセージ入り石碑プレートを設置 |
小型井戸(5万円)
一般的な井戸です。これ一つ村に設置すれば、ほとんどの村人が使用することが可能です。小さいサイズで使い勝手が良いため、小さな子どもでも使用可能です。地下水位が低いエリアで利用されています。
また、3年間分の故障修理対応費用(5,000円)が含まれており、井戸を作るだけで終わりではなく、その後の村人の生活まで保障されています。
大型井戸(20万円)
深さ約50mの大型井戸です。電気ポンプ式で、地下水の低い場所でも水を汲み上げることができることや、電動ポンプなので容易に利用できるのが特徴です。小型井戸が利用できない地下水位の低い村や小学校など、大勢の人が使用する場所での設置も期待できます。
支援した村への視察も可能
また、実際に支援した村に訪問し、井戸を視察することもできるそうです。
視察については、現地コーディネーター(通訳スタッフ)が現地まで案内してくれるとのこと。
提携している建設会社には旅行部門があるため、希望に沿ったアレンジも可能だそうです。
支援した村への視察に関する情報や、問い合わせ先の日本人スタッフの連絡先なども共有してくださいました。
私が井戸を作ろうと決めた理由
まず、ご存知の通り、私は決してハリウッドセレブみたいなお金持ちではありません。
米国大学University of the Peopleで経営学を学びながら、1日中パソコンでカタカタと仕事をしている一般人です。
しかし、私がこうして今オンラインで勉強や仕事をしている間にも、カンボジアでは重たいバケツを抱えて、遠くまで水を汲みに行っている人たちがいます。
水不足による農作物の不作や、汚染水が原因で病気に苦しんでいる人たちもいます。
カンボジアの水道、電気、ガスが通ってない村では、家から何100mも離れた池まで、重たいバケツを2つも抱えて毎日水を汲みに行くのだそうです。
この役割を務めるのは主に女性や子供たちで、池の水には動物の排泄物が混ざってることもあるのだとか。
ビル・ゲイツみたいな成功者になりたいわけではありません。教科書に載るような偉人になりたいわけでもないです。
だけど自分がちょっと仕事頑張った時とかに、少しだけでもそれで誰かの役に立てたら、自分自身もまた仕事頑張ろうって思うことができます。
「自分に何かできることはないかな」と誰もが心の片隅に抱いているであろうこの気持ち。
これを体現化しようと色々リサーチをした結果、この支援方法を知り「これだ!」と思いました。
たまたま私たちは日本に生まれてきただけで、もしかしたら私たちがその子たちだったかもしれません。
私たちがスマホで簡単に課金した100円や1,000円は、彼らにとっては人生を変える価値があるかもしれません。
大きなお金だけが寄付ではなく、ボーナス出た時に数千円寄付するとか、お釣りの500円をレジの募金箱に募金するとかでも、途上国の人たちからしたら凄く大きいと思うのです。
「寄付や支援はお金持ちだけがすること」「少額の募金なんてたかが知れてる」というバイアスを外して、身の丈にあった金額でみんなが少しずつ貢献すれば、それは大きなパワーになるでしょう。
若い頃、ニューヨーク滞在の後半戦で生活費が苦しくて、パスタを3食に分けて暮らしてた時に貰ったお菓子。
その時の感動や味って今でも覚えてるし、一生忘れないと思うのです。
こんな時代ですが、少しでも世界に笑顔が増えたらいいなと思います。
歴史になんて残らなくても、たった数人でも良いから誰かを笑顔にすることができたり、誰かの役に立てたり、誰かの心に刻まれるような生き方をしたい。
自己満や偽善だと思う人も少なくないかもしれません。
だけど「しない善」より「する偽善」だと思っています。
買うだけで寄付になる自販機や、遺産を寄付する制度、1円からの寄付、子どもたちが作ったグッズの買取、不要な本や服の支援、井戸掘りボランティアツアーなど、今は色々な寄付があります。
一人ひとりができる範囲内でできることをしていけたら、小さな寄付はいずれ大きな寄付になるはずです。
争いや感染症の蔓延、災害など、暗いニュースが多い昨今ですが、一人でも多くの方の笑顔の花が咲きますように🌸
▼Sayah Mediaも支援させていただいているNPO法人「ワールド・ビジョン・ジャパン