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ビッグマック指数とは?2022年最新ランキング事情

ビッグマックバーガー指数

近年、世界的にインフレ(物価高騰)の拡大が加速しています。また、2022年は急激な円安の進行が話題です。

次の海外旅行先やビジネス展開する国を決めるとき、A国では200円で売られている商品がB国では100円で買えるとしたら、あなたはどちらの国を選ぶでしょうか?

物価を知るのに役立つのが「ビッグマック指数」です。本記事では、私Sayah (@sayah_media) が、ビッグマック指数に関して、以下のポイントを中心に分かりやすく解説します。

  • ビッグマック指数の意味
  • ビッグマック指数を活用するメリット
  • ビッグマック指数の算出方法
  • ビッグマック指数から読み取れること
  • 2022年の最新ビッグマック指数ランキング

ビッグマック指数を知っておくことで海外ビジネスや海外旅行にも役立てられるため、ぜひ参考にしてください

ビッグマック指数とは

「ビッグマック指数(The Big Mac Index:BMI)」とは、世界各国の経済力を測るための指標の1つです。

同指数は、1986年に英・政治経済誌『エコノミスト(Economist)』によって考案されて以来、同誌で年に2回発表されており、各国の物価を測るモノサシともいわれています。

ビッグマック指数では「一物一価の法則」を用いて、購買力平価を求めることが可能です。

ここでは、「一物一価の法則」や「購買力平価」を含め、ビッグマック指数の概要について分かりやすく解説します。

一物一価の法則とは

ビッグマック指数とは、「一物一価の法則」を用いて購買力平価を求めるものだと説明しました。

「一物一価の法則」とは、ある時点における同じモノ・サービスの価格は、1つになるであろうという経済学の考え方です。

そこで、各国のビッグマックの価格を比較することで、世界各国の総合的な購買力(通貨が財やサービスを購入できる能力 )を算出するべく生み出されたのが「ビッグマック指数」です。

購買力:貨幣価値。モノやサービスを買う財力。1つの通貨で購入できるモノやサービスの量

「購買力平価」については、次の項で分かりやすく解説します。

購買力平価とは

また、ビッグマック指数は、購買力平価の計算方法としても使用されています

「購買力平価(PPP:Purchasing Power Parity)」とは、その通貨が購入できる商品の価値によって為替レートが決まることを意味します。

例1:

ビッグマックがアメリカでは4ドル、日本では400円で販売されていると仮定した場合:

→4ドルと400円では同じ商品🍔が買える

→つまり1ドルと100円の購買力は等しい($1 = ¥100 = 1)

→為替レートは1ドル=100円が適切である

上記のように、実際のモノの価格をベースに「物価が釣り合っている状態」を「購買力平価」といいます。

次に、違う例を見てみましょう。

例2:

ビッグマックがアメリカでは4ドル、日本では300円で販売されていると仮定した場合:

→4ドルと300円では同じ商品🍔が買える

→為替レートは1ドル=75円が適切である

上記の例(例2)のように、75円が適正水準であるにも関わらず、実際の為替レートは「1ドル=140円」だとします。

すると、購買力平価と差が出てしまうため、「為替レートを見直そう」という議論が沸き起こるでしょう。このように、為替の検討材料の1つとして使われる指標が「ビッグマック指数」です。

ビッグマック指数ランキングに記載されている「+21.63」「-7.47」などは、該当現地通貨がUSドルに対してどの程度「過大評価」または「過小評価」されているかを示した数値です。

通貨の価値や為替レートの適正値を手軽に確認できることから、ビッグマック指数を活用した分析は、世界中の投資家にもポピュラーな手法の1つとなっています

ビッグマック指数を活用するメリット

それでは、ビッグマック指数を習得すると、一体どのようなことを読み解けるようになるのでしょうか。

ここでは、ビッグマック指数を活用することで得られるメリットについて解説します

①国際的な購買力の高さを測れる

世界中のマクドナルド(McDonald’s)で販売されているビッグマックは、各国でほぼ同品質で販売されていることが特徴です。

上記のように、比較したい国とアメリカ間におけるビッグマックの価格を比較すれば、購買力平価を算出し、2通貨間(現地通貨とUSドル間)の購買力格差を把握できます。

  • ビッグマックの価格が安い国=国際的な購買力が低い
  • ビッグマックの価格が高い国=国際的な購買力が高い

②物価動向(インフレ・デフレ)を推察できる

ビッグマック指数を活用することで、インフレやデフレといった物価動向も推察できます

後ほど詳しく解説しますが、日本のビッグマック価格は先進国としては破格の安さです。

この事実は、ミクロ的な観点で見れば、消費者にとっては喜ばしいことですが、マクロ的な観点で見ると、経済としては決して良い状況であるとはいえません

販売価格の安さは物価の下落を示しており、商品に付加している人件費(賃金)が低下していること(=デフレ)を表しています

賃金が低下すると、消費者の購買意欲は減少するため、商品が売れず、企業の業績が悪化します。すると、企業は従業員の賃金を削減することになり、減給された従業員はさらに消費を抑えることになるでしょう。

結果的に、物価の低下はデフレスパイラルを引き起こし、日本経済全体の縮小をもたらします

このように、ビッグマック指数を適切に読み解くことで、今後の物価動向が推察できるようになります

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③物価と比した賃金水準が推測できる

各国・都市でビッグマック1個の購入に必要な労働時間を算出することで、各国・都市の物価と比した賃金水準も推測可能です。

1人あたりのGDPに対する最低賃金が低い日本では、比較的安い賃金で従業員を雇えるため、これがビッグマックを安く提供できる理由にもつながっています。

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ビッグマック指数の計算方法

ビッグマック指数の算出方法は、以下の通りです。

【STEP 1】

比べたい国のビッグマックの現地通貨価格🍔 ÷ アメリカのビッグマックの価格(USドル)🍔

【STEP 2】

次に、上記の方法で算出したレートを実際の為替レートと比較し、当該現地通貨がUSドルに対してどの程度「過大評価」または「過小評価」されているかを数値化します。

例えば、現在の日本のビッグマック価格(390円)、アメリカのビッグマック価格(5.15USD)を、2022年10月時点の為替レート(1ドル=145円)で計算すると、以下の通りです。

  • 390(円)÷ 5.15(USドル)÷145≒0.522
  • (0.522-1)× 100 = △47.8

→日本のBMI = △47.8%

この場合、日本人がアメリカに来てビッグマックを購入すれば「物価が高い」と感じ、アメリカ人が日本でビッグマックを購入すれば「物価が安い」と感じるでしょう。

また、上記の例では、ビッグマック指数がマイナスとなっているため、円の評価は過小評価であると判断され、円の価値は今後高まることが推測できます

2022年のビッグマック指数ランキング

ここでは、2022年7月に英『エコノミスト』誌が発表したデータをもとに、実際に最新の『ビッグマック指数ランキング(The Big Mac Index)』を見ていきましょう。

順位 国名 価格
(USドル)
価格
(円)
BMI
(%)
1位 🇨🇭スイス 6.71 973 30.3
2位 🇳🇴ノルウェー 6.26 908 21.6
3位 🇺🇾ウルグアイ 6.08 882 18.1
4位 🇸🇪スウェーデン 5.59 811 8.5
5位 🇨🇦カナダ 5.25 761 2.0
6位 🇺🇸アメリカ 5.15 747 0
7位 🇱🇧レバノン 5.08 737 -1.4
8位 🇮🇱イスラエル 4.95 718 -4.0
9位 🇦🇪アラブ首長国連邦 4.9 711 -4.8
10位 ユーロ圏 4.77 692 -7.5
11位 🇦🇺オーストラリア 4.63 671 -10.2
12位 🇦🇷アルゼンチン 4.57 663 -11.3
13位 🇸🇦サウジアラビア 4.53 657 -12.1
14位 🇬🇧イギリス 4.44 644 -13.8
15位 🇳🇿ニュージーランド 4.43 642 -14.0
16位 🇧🇷ブラジル 4.25 616 -17.5
17位 🇧🇭バーレーン 4.24 615 -17.6
18位 🇸🇬シンガポール 4.24 615 -17.7
19位 🇰🇼クウェート 4.23 613 -17.9
20位 🇨🇿チェコ 3.97 576 -22.9
21位 🇨🇷コスタリカ 3.91 567 -24.1
22位 🇳🇮ニカラグア 3.87 561 -24.8
23位 🇱🇰スリランカ 3.72 539 -27.7
24位 🇴🇲オマーン 3.69 535 -28.4
25位 🇭🇷クロアチア 3.68 534 -28.5
26位 🇨🇱チリ 3.66 530 -28.9
27位 🇭🇳ホンジュラス 3.62 525 -29.8
28位 🇵🇱ポーランド 3.59 521 -30.3
29位 🇶🇦カタール 3.57 518 -30.7
29位 🇵🇪ペルー 3.57 518 -30.7
31位 🇨🇳中国 3.56 516 -30.9
32位 🇰🇷韓国 3.5 508 -32.0
33位 🇹🇭タイ 3.5 508 -32.1
34位 🇨🇴コロンビア 3.48 505 -32.4
35位 🇲🇽メキシコ 3.43 497 -33.4
36位 🇬🇹グアテマラ 3.36 487 -34.7
37位 🇯🇴ヨルダン 3.24 470 -37.1
38位 🇵🇰パキスタン 3.16 458 -38.7
39位 🇲🇩モルドバ 3.11 451 -39.6
40位 🇻🇳ベトナム 2.95 428 -42.8
41位 🇯🇵日本 2.83 410 -45.1
42位 🇦🇿アゼルバイジャン 2.77 402 -46.3
43位 🇵🇭フィリピン 2.75 399 -46.5
44位 🇹🇷トルコ 2.68 389 -48.0
45位 🇭🇰香港 2.68 389 -48.1
46位 🇭🇺ハンガリー 2.65 384 -48.6
47位 🇹🇼台湾 2.51 364 -51.3
48位 🇲🇾マレーシア 2.45 355 -52.4
49位 🇪🇬エジプト 2.43 352 -52.9
50位 🇮🇳インド 2.39 347 -53.6
51位 🇿🇦南アフリカ 2.34 339 -54.5
51位 🇮🇩インドネシア 2.34 339 -54.6
53位 🇷🇴ルーマニア 2.28 331 -55.7
54位 🇻🇪ベネズエラ 1.76 255 -65.8

※2022年10月時点の為替相場1ドル=145円で計算(小数点以下は四捨五入)
※BMIは2022年7月発表時点

2022年7月発表時点の『ビッグマック指数』によると、日本のビッグマック価格は390円(41位)アメリカのビッグマック価格は5.15ドル(6位)です。 また、この条件で暗示される為替レートは 75.73になります。

Source: The Big Mac index | The Economist

ここで算出された為替レートと、2022年7月時点の為替レート137.87との差は、日本円が45.1%過小評価されていることを示しています

この場合、ビッグマック指数を活用している投資家たちは、日本円のポテンシャルを感じ、「今後日本円の価値は高くなるはずだ」と予想するでしょう

スイスのビッグマック価格はベネズエラの約4倍

2022年7月発表時点の『ビッグマック指数』によると、1位はスイスの6.71ドル(約973円)、最下位はベネズエラの1.76ドル(約255円)です。

これはスイスでは1,000円でビッグマックは1個しか買えませんが、ベネズエラではビッグマックが3個、さらに20円出せばビッグマックが4個買えることを示しています。

つまり、日本からスイスに旅行をした人が現地で「物価が高い」と感じるのに対し、同時期に日本からベネズエラに旅行をした人は現地で「物価が安い」と感じ、お得感を得られるでしょう。

日本のビッグマック指数は年々減少傾向にある

日本のビッグマック価格は、年々低下傾向にあります。2000年のランキングでは、アメリカが8位で2.81ドル(当時のレートで約266円)であったのに対し、日本は5位で294円でした。

このときの為替相場レートは1ドル=106円でしたが、当時アメリカ旅行をしたことがある人は、日本よりも安くビッグマックを購入できることから、おそらく現地でお得な気分を味わえていたはずです。

2000年〜2022年までの推移

Source: The Big Mac index | The Economist

一方で、2000年から2022年までの日本のビッグマックの価格を見ると、2010年には少し上昇傾向にあったものの、以来、日本のビッグマック価格は減少傾向にあります

つまり、「定年後はインドネシアやタイのような物価が安い国でのんびり暮らしたい」と考える人も一定数いる中で、昔よりもそのメリットを感じづらくなっているのが現状です。

逆に、海外に住む外国人にとっては、日本は年々「先進国なのに物価も通貨も安くて暮らしやすい国」になってきているといえるでしょう。

日本のビッグマック価格はタイや韓国よりも低い

日本のビッグマック価格は、ここ数年で多くの国に追い抜かれており、中国や韓国、タイ、ベトナムより低いのが実情です

また、この数値は、貧困率世界10位(2022年時点)のグアテマラよりも約100円低いことを示しています。
Source: Poverty Rate by Country 2022 | World Population Review

下の画像は、筆者が2022年10月に韓国(ソウル市・江南区)のマクドナルドを訪れた際に撮影した、マクドナルドのメニュー写真です。

韓国のマクドナルドのメニュー。筆者撮影

これを見ると、ビッグマックの料金は4,900Wです。

日本円で表すと、当時のレート(1ウォン=0.10円)で511円なので、日本でビッグマックを買うよりも101円多く支払う必要があったことになります。

ちなみに筆者は、韓国のマクドナルド限定のご当地メニューの1つ「エッグプルコギバーガー」をいただきました🍔🍟

韓国のマクドナルド限定のご当地メニュー「エッグプルコギバーガー」。筆者撮影

ビッグマック指数の欠点・問題点

その国の経済力や物価を把握するのに便利なビッグマック指数ですが、同指数にはいくつかの弱点があります。

ここでは、ビッグマック指数を活用する際の注意点について解説します

①経済的な要素が含まれる

ビッグマック指数は、あくまでもビッグマックがどの国でも同じ品質・規格で販売され、同じ価値を持っている前提で考案されています。しかし、現実的にはこの条件は完全には成立しません

ビッグマックの単価は、原材料費のほか、生産コストや人件費、材料費、広告費、店舗の賃貸料、光熱費など、さまざまな要因をもとに決定されています

先に述べた通り、日本では最低賃金が低く、付加される人件費が少ないため、ビッグマックを安く提供することが可能です。

また、ビッグマックの価格には輸送費も関税なども影響するため、為替相場と購買力平価が完全に一致することはないと考えられます。

②国によっては各地域で価格が異なる

例えば、国土が広いアメリカでは、州によってビッグマックの価格が異なります。2022年10月時点で、一部の州のビッグマックの価格は以下の通りです。

  • ハワイ州:5.31ドル
  • ニューヨーク州:5.23ドル
  • カリフォルニア州:5.11ドル
  • ワシントン州:4.67ドル
  • コロラド州:4.59ドル
  • フロリダ州:4.47ドル
  • オレゴン州:4.47ドル
  • アリゾナ州:4.43ドル
  • ミシガン州:4.27ドル
  • ルイジアナ州:4.15ドル
  • オハイオ州:4.03ドル
  • ミシシッピ州:3.91ドル
  • テキサス州:3.39ドル

Source: McDonald’s Menu Prices | Fast Food Menu Prices

上記はあくまでも一部ですが、このように、同じアメリカ国内でもハワイ州とテキサス州で1.91ドルも異なります

つまり、為替レートが1ドル=145円の時にテキサスに旅行に行った人はワンコイン(約492円)でビッグマックを食べられますが、ハワイに旅行に行った人は同じ商品に278円多く払わなければならないのです。

そのため、同じアメリカに旅行に行った人でも、テキサスに行った人とハワイに行った人とでは、物価の感じ方に違いがある可能性があります

実際に、ハワイに住んでいる私の親戚によると、「ハワイの物価の高さを理由に、本土への引っ越しを視野に入れている人も少なくない」とのことでした。

③品質や規格は必ずしも世界共通ではない

アメリカのバーガーに関して、「日本のバーガーよりもサイズが大きい」というイメージをお持ちの人も多いのではないでしょうか。

しかし、実際に大きいのはアメリカ限定のご当地バーガーだけで、基本的にレギュラーメニューの品質やサイズは日本のものとさほど変わりません。マクドナルドでは、レギュラーメニューを世界共通の品質で提供できるよう努めているためです。

同社の公式サイトには、同じ美味しさを維持すべく、定期的に世界各国の品質担当者が品質審査会を開き、基準の統一を図っていることが記載されています。



一方で、ビッグマックの英語版Wikipediaを見ると、各国のビッグマックの栄養値はそれぞれ異なります

例えば、日本のビッグマックのカロリーは、43カ国中2番目に高い557kcalで、最もカロリーが低いチリの478kcalより79kcal高いのが実情です。

また、日本のビッグマックの食塩相当量は43カ国中最も多い2,800mgで、シンガポールのビッグマックの970mgの約3倍もの量が含まれていることになります。

そのため、ビッグマック指数の前提条件である「同品質・同規格・同価値」は、現実的ではないといえるでしょう

④国によってビッグマックの価値は異なる

アメリカのようにバーガーが好きな国もあれば、あまり需要がない国もあります。豊かで優れた食文化を持つ国では、選択肢の多さと相対的にビッグマックの価値は低くなるでしょう

日本のビッグマックが安い理由としては、ビッグマック以外にも安くて美味しい食べ物に恵まれているために、この値段が妥当だったのかもしれません。

また、健康志向が強い国であれば、ファストフード=ジャンクフードと捉えられ、特にサイズの大きなビッグマックは避けられるのではないでしょうか。

そのため、各国のビッグマックには、各国の顧客価値に見合った価格が設定されていることを考慮すると、実際には一物一価の成立は難しいといえるでしょう。

ビッグマック指数に似ている指数

ビッグマック指数のほかにも、これまでにさまざまな指数が開発されてきました。

ここでは、ビッグマック指数とよく比較される、ユニークな指数の数々をご紹介します

トール・ラテ指数(スタバ指数)

こちらの「トール・ラテ指数(スターバックス指数)」も、ビッグマック指数と同じく英『エコノミスト』誌が発表している指標です。

同指数は、スターバックスのトール・ラテ(トールサイズのミルク入りエスプレッソコーヒー)の価格で、各国通貨の購買力を比較する指数となります。

Source: The Price of Starbucks in Every Country Mapped | Vivid Maps

2022年のトール・ラテ指数でも、ビッグマック指数1位のスイスがトップに君臨しています。最下位はトルコで1.31ドルです。

同指数によると、日本のトール・ラテ価格はは3.57ドルで、スイスのトール・ラテの2分の1以下の価格であることが分かります。


Source: The Price of Starbucks in Every Country Mapped | Vivid Maps

上の画像は、日収の中央値に対するラテ代の割合をランキングにしたものです。これを見ると、カンボジアがお手頃価格ワースト1位で、アメリカがお手頃価格トップであることが分かります。

Source: The Price of Starbucks in Every Country Mapped | Vivid Maps

上の画像は、アメリカ国内の各州のトール・ラテ価格です。同じアメリカ国内でも、ミシシッピ州では2.89ドルで買えるトール・ラテが、ハワイでは3.92ドルも支払わなければなりません

Source: The Price of Starbucks in Every Country Mapped | Vivid Maps

アジアで最もスタバのトール・ラテを安く買える国はマレーシア(3.04ドル)で、最も高いのが香港・マカオです。

日本は3.57ドルで、先進国の中では比較的物価が安いといえるでしょう。

KFC指数

アメリカの市場調査会社「Sagaci Research」が作ったKFC指数は、アフリカ諸国の為替レートを比較し、購買力平価を測定するための指数です

アフリカにはマクドナルドがほとんど存在しないため、ビッグマック指数を当てはめることができません

一方、ケンタッキー(KFC)は、アフリカ大国の約20カ国に存在していることから、ビッグマック指数の代替案としてこの指数が生まれました。

同指数では、2カ国間の12 pcバケツまたは15pcバケツの価格を比較します

例えば、2016年1月時点で、アメリカのKFCオリジナル12pcバケツの平均価格は20.50ドルでした。一方、ナミビアの市場為替レートでは13.40ドルにしか過ぎません。つまり、この数値は当時ナミビアドルが33%過小評価されていたことを表しています。

iPhone指数

iPhone指数は、ポーランドのクーポンサイト『Picodi』が発表している指数です。

同指数では、現地の「iPhone 14 Pro(128 GB)」の公式価格と各国の統計局が公表している平均所得をもとに、128GBの「iPhone 14 Pro」を購入するのに何日働かなければならないかが算出されています。


Source: iPhone Index 2022: how many days do we need to afford Apple’s newest flagship? – Bargain Hunting | Picodi

同指数によると、26位の日本では、128GBの「iPhone 14 Pro」を購入するのに11.9日働く必要があります。これはアメリカ(5.7日)の約2倍の日数であることを表しています。

ちなみにiPhone指数1位は、ビッグマック指数でも1位だったスイスで、4.6日という結果でした。

また、2010年には豪証券会社「コムセック(CommSec)」社が「iPod指数(The iPod Index)」を発表し、当時話題を集めています。

コカ・コーラマップ

これまでにご紹介した指数は、各国の経済力や賃金水準、各通貨の購買力を測るものでした。

しかし、「コカ・コーラマップ(コカ・コーラ指数)」は少し異なる視点を持っており、生活の質や政治的自由の度合いとコカ・コーラの消費量の関係を示す指標です。


Souce: Next year, the french-fry index | The Economist

左の図は、1996年時点で1人あたりのコカ・コーラの消費量が多い国です。右の図は、1996年時点での1人あたりのGDP(国内総生産)と1人あたりのコカ・コーラ消費量を比較したものになります。


Souce: Next year, the french-fry index | The Economist

左の図は、「国連開発計画(UNDP)」が発表している「人間開発指数(HDI:Human Development Index)」で、世界各国のコーラの消費量と国連の人間開発指数(富・教育・健康・識字率で測定)の関係を示しているものです。右の図は、7段階評価による世界の政治的自由の度合いとコカ・コーラの関係を表しています。

これらのデータを見ると、生活の質が高く、政治的自由の度合いが高い国になるほど、コーラの消費量が高いことがお分かりいただけるのではないでしょうか。

ビッグマック指数まとめ

「ビッグマック指数」とは、分かりやすくいうと各国の物価を測るモノサシです。ビッグマック指数を活用することで、以下のようなさまざまなメリットを享受できます。

  1. 国際的な購買力の高さを測れる
  2. 物価動向(インフレ・デフレ)を推察できる
  3. 物価と比した賃金水準が推測できる

一方で、ビッグマック指数にはさまざまな欠点や問題点が指摘されているのも事実です。

  1. 経済的な要素が含まれる
  2. 国によっては各地域で価格が異なる
  3. 品質や規格は必ずしも世界共通ではない
  4. 国によってビッグマックの価値は異なる

国によって経済的要素やマクドナルドの戦略、宗教文化も異なるため、実際には「一物一価の法則」「購買力平価」による為替レート推測を完全に成立させることは難しいのが現状です。

しかし、ビッグマック指数は、各国における相対的な物価水準を大まかに把握するには、ある程度の目安になります。

そのため、海外旅行や海外でのビジネス展開を検討する際には、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

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